なぜ僕が「自律神経モードの流れ」に興味を持ったのか

セラピストとして身体に触れる仕事をしていると、本当に毎回思うんです。

「みんな、交感神経を悪者にしすぎじゃない?」

「ずっと交感神経優位でダメなんです…」
「背側迷走神経が働いてるなんて終わってる気がする…」

こんなふうに自分を責めてしまう人がめちゃくちゃ多い。
でも、僕からすると「いや、それ守ってくれてただけだから!」と全力で伝えたい。

そもそも僕自身、自律神経の波に飲み込まれてきたタイプなんですよ。
戦闘モードから抜けず、気づいたら背側迷走神経のシャットダウンに落ちる…みたいなことを繰り返してきた。

でも、あるとき気づいたんです。

「自律神経は“どれが働くか”が問題じゃなくて、“流れなくなること”が問題なんだ」

それはまさに、僕の身体が教えてくれた真実でした。


【自律神経の乱れとは?】ずっと交感・ずっと背側が問題なだけ

まず大前提として、

✔ 交感神経は“悪者”じゃない

✔ 背側迷走神経も“不要”じゃない

✔ それらは命を守るために絶対必要

ストレスを感じたら交感神経が働くのは当然。
危険を察知したら背側迷走神経がブレーキをかけるのも当然。

つまり、
自律神経の乱れ=特定の神経が働くことではなく「ずっと同じ神経にロックされること」。

  • ずっと戦闘モード(交感神経ロック)
  • ずっとシャットダウン(背側迷走神経ロック)

この “ずっと” が心と体に大きな負担をかける。

本来の自律神経は、波のように動くもの。
行ったり来たりしながら、必要に応じて姿を変える。

例えば、僕らの身体はこんなふうに働くのが理想的。


【理想の自律神経モードの流れ】交感 → 腹側 → 背側(必要なら)→また腹側

ここが本題。

ポリヴェーガル理論では、
「腹側迷走神経がハブ(中心)」
と言われることがよくあります。

つまり、腹側迷走神経を“家”とするなら、

  • 出かけるときは交感神経
  • 危険を回避するときは背側迷走神経
  • そして、必ず家(腹側)に戻る

この流れがスムーズな人ほど、
疲れにくく、折れにくく、生きやすい。

■シーン別:神経がどう働くのが正常か

  • 朝、気合を入れて仕事を始める → 交感神経
  • 人とつながり、会話を楽しむ → 腹側迷走神経
  • 深く休んだり、エネルギーを回復する → 背側迷走神経(安全な環境で)
  • 仕事が一段落してホッとする → 再び腹側迷走神経

これ、全部必要。

むしろ、交感神経のスイッチが入らないと、
挑戦も行動もできない。

背側迷走神経が働かないと、
深い回復ができない。

腹側迷走神経がなければ、
人と繋がれず、安心すら感じられない。

どれが欠けても、僕らの生活は成立しない。


【神経を自在に切り替えられると、人生がめちゃくちゃ軽くなる】

僕が施術をしていて思うのは、
結局これなんですよ。

神経の切り替えがうまい人は、人生の切り替えもうまい。

例えば、

  • 緊張すべき場面でちゃんと交感神経が働く
  • 戦い終わったらスーッと腹側迷走神経に戻る
  • 必要があれば背側迷走神経モードでしっかり休む

この循環が自然にできる人は、
本当に疲れにくいし、メンタルの安定感が段違い。

逆に「ずっと戦闘」「ずっとシャットダウン」の人は、
心も体も余裕が消えていく。

でもそれは欠陥じゃなくて、
ただ“戻る道筋”を忘れてしまっているだけ。

身体は本来、何度でも戻れる設計になっているんですよ。


【私からの一言】自律神経は“味方”。敵にしていたらもったいない

最後に、これは本当に伝えたい。

交感神経も、背側迷走神経も、
あなたの敵じゃない。

全部あなたを守るために働いてきた、大事な味方。
悪いのは「固定」されてしまうことであって、
働くこと自体は正解。

だからこそ、
腹側迷走神経を“帰る場所”として育てること。
そして、
必要に応じて神経を行き来できる柔軟性を取り戻すこと。

これができると本当に生きやすいし、
やりたいことを叶えるエネルギーが自然と湧いてくる。

自律神経は、あなたの人生のハンドルそのもの。
うまく使えると、人生ってこんなに軽かったんだ…と実感すると思います。