なぜ僕が「触っただけで自律神経がわかる」と気づいたのか
セラピストとして身体に触れる仕事をしていると、たまに思うんです。
「この人、心の緊張をずっと一人で抱えてきたんだろうな」って。
肩に触れた瞬間にガチッと反射が返ってくる人を前にすると、まるで“体が戦ってる音”が聞こえるような感覚になる。
もともと、僕自身が自律神経で長く迷走してきたタイプなので、身体が語る本音ってすごく共感できるんですよね。
頭で「大丈夫」と思ってても、身体は正直に「いや、全然大丈夫じゃねぇよ」と言ってくる。
施術を重ねるうちに、ふと気づいたんです。
あれ、これって交感・腹側・背側…ポリヴェーガルの反応そのまんまじゃん。
しかも触るだけで全部わかるじゃん。
そこから、僕は「身体が今どの自律神経モードにいるのか」を触診で感じ取るのが当たり前になりました。
今回は、その“身体の語り方”を3つのパターンに分けて紹介します。
【交感神経優位】肩の表層筋がガチッと硬い人は戦闘モード中
まずは、現代人の9割がハマりがちなモード。
■特徴
- 表層筋がカッチカチ
- 肩・首まわりが分厚く硬く感じる
- 触れた瞬間 “反射的に力が入る”
- 身体が「今すぐ走り出せますけど?」みたいな緊張感
このタイプは、僕が手を置いた瞬間に、身体が勝手に守りに入る。
まるで「誰!?」「何するの!?」みたいな反応が返ってくる。
本人は気づいてなかったりするけど、体はずっと戦闘態勢。
マジで24時間ずっと“戦国時代”に住んでる感じ。
しかも、交感神経優位の人ほど「リラックスしたいけど、どう休むのが正解かわからない」というジレンマを抱えてる。
身体がずっと牙をむきっぱなしなので、“緩む”という感覚そのものを忘れてしまうんですよね。
【腹側迷走神経優位】深層部までふわっと緩んでいて「受け入れる身体」
これは、触った瞬間にわかる。
僕が軽く触れただけで、身体が “あ、どうぞ” みたいに受け入れてくれる。
本当にそんな空気になる。
■特徴
- 深層部の筋肉まで柔らかく、温かい
- 表情筋や胸郭の動きがしなやか
- 呼吸が自然と深い
- 触れられても身体が過剰反応しない
- “信頼している身体”という感じ
セラピストの手を信じてくれているような、そんな柔らかさ。
「この人、普段からちゃんと自分の身体と仲良くしてるなぁ」と思わずほっこりする。
腹側迷走神経が働いている状態は、“社会的つながりモード”。
つまり、安心と交流がベースになった生き方をしている。
深い意味での「余裕」を感じます。
【背側迷走神経優位】脱力はしているけど“弾力がない身体”
これも触るとすぐわかる。
「力が抜けてる」というより、
“抜けきってる”。
■特徴
- 過度に脱力している
- 筋肉に弾力がない
- 触れても反応が薄い
- 身体の“生命感”が弱い
- エネルギーが底の底に沈んでいる感じ
背側迷走神経優位は、簡単にいえば「シャットダウン状態」。
生きるために“動きを止めている”モード。
この状態の身体って、ふわっとしているわけではなく、
**「コシがない」**感じ。
たとえるなら、寝すぎた後の布団みたいな、あの頼りない感じ。
刺激に対して動き出す元気がない。
施術してても、「まず安全を感じてもらうところからだな」と思う状態です。
【自律神経は嘘をつかない】人はみんな、身体が先に本音を語る
僕はいつも思うんです。
人の本音って、言葉よりも身体に出る。
頭で強がってても、身体は正直で、嘘がつけない。
それが悪いとかじゃなくて、むしろそれが人間らしくて愛おしいと思う。
交感神経が優位なら、それだけ必死に生きてきた証拠。
腹側迷走神経が優位なら、安心をちゃんと育ててこれた証拠。
背側迷走神経が優位なら、傷つきながらもなんとか生き残ってきた証拠。
どれも否定する必要なんて一つもない。
身体は、あなたを守るために働いていただけなんです。
【私からの一言】自律神経は“心の翻訳者”みたいなもの
僕は施術を通して、「自律神経って心の翻訳者だな」と感じています。
言葉にならなかった想い、押し込めてきた気持ち、
誰にも言えなかった不安や緊張——全部、身体が代わりに語ってくれる。
だから、もし「最近なんかしんどいな」と思うなら、
まず身体を触ってみてください。
肩がガチッとしてたら、頑張りすぎた合図。
胸がふわっと広がっていたら、あなたの中で安心が育ってる合図。
弾力がなく沈んでいるようなら、休むことを体が求めている合図。
自律神経は、いつだってあなたの味方です。
身体の声に耳を傾ければ、勝手に“生きやすい方向”に導いてくれる。
そういう、ちょっと不思議で、ちょっと優しい存在なんですよね。