僕が「自律神経モードのセルフチェック」を伝えたい理由

施術をしていると、よく聞かれるんです。

「私って今どの神経モードなんですか?」
「腹側迷走神経に入りたいけど、どうすればいいの?」

これ、めちゃくちゃ大事な質問。

なぜなら——
“今どのモードか”がわからないまま整えようとしても、ぜんぜん効果が出ないから。

たとえば、交感神経ガン上がりなのに「呼吸を整えよう」って言われても、
そりゃ無理だよね、って話で。

結局、
“今の自分の神経状態を知る”=自律神経調整のファーストステップ
なんです。

僕自身も、昔はひたすら知識だけを詰め込んでいたけど、
自分の身体感覚を理解し始めた瞬間から本当に生きるのが楽になった。

だから今回は、
僕が施術で使っている視点をできるだけシンプルにして、
セルフチェック方法と腹側迷走神経に戻すコツをまとめていきます。


【自律神経モードの基礎知識】人は3つの反応モードを行き来しているだけ

自律神経はざっくり分けるとこの3つ。

◆ 交感神経(戦う・動く・緊張・頑張る)

◆ 腹側迷走神経(安全・安心・つながり・余裕)

◆ 背側迷走神経(シャットダウン・無気力・切断・省エネ)

どれも悪者じゃなくて、すべて生存のために必要。
大事なのは “ずっと同じモードにいないこと”

で、問題はここ。


【自律神経セルフチェック】今のあなたはどのモード?

ここから、できるだけ“リアルな感覚”でチェックできるようにします。
あなたの身体の反応をそのまま使ってくださいね。


①交感神経優位(戦闘モード)のサイン

  • 呼吸が浅い、胸だけで吸っている
  • 肩・首まわりがガチッと硬い
  • 触ると反射的に力が入る
  • 落ち着いていても体の内側がそわそわする
  • マルチタスクが増える、焦りやすい
  • “頑張らなきゃ”が口癖
  • 常にアンテナが立っている感じ
  • 寝つきが悪い、起きてもスッキリしない

施術してても、交感優位の人は触れただけで
**「ピクッ」**と反応します。
体がずっと戦闘モードで“攻撃から守る”動きをしている証拠。


②腹側迷走神経優位(安全・余裕モード)のサイン

  • 深層までふわっと柔らかい
  • 触れると体が受け入れてくれる
  • 呼吸が自然に深くなる
  • 表情が柔らかい、目が優しい
  • 人との会話が心地よい
  • 判断力がある(笑)
  • 「ま、いっか」が自然に出る
  • 理由のない安心感がある

僕が施術で触れると、まるで
「体の方がこっちを信じてくれている」
そんな感じになる人がこのモード。

全身が“安心を前提に生きている”状態。


③背側迷走神経優位(シャットダウン)のサイン

  • 体が抜けているのに弾力がない
  • 触っても反応が薄い
  • 思考がぼんやりする
  • 眠たいのに眠れない
  • とにかくやる気が出ない
  • 何をするにも億劫
  • 感情がフラットすぎる
  • 雑音が入らないかわりに喜びも薄い

交感神経よりやっかいなのが、この背側のシャットダウン。
体が省エネになって“動く気がない”。

ただしこれは悪いわけじゃなくて、
限界まで頑張った体を守るために強制的にブレーキをかけているだけ。


【腹側迷走神経に戻す方法】安全・安心モードは“意図的につくれる”

腹側迷走神経は、“安心を感じることで働く神経”。
つまり、
「安心のスイッチ」を自分で増やしていけば戻りやすくなる。

僕がクライアントにもよく伝えている方法をまとめます。


◆① まずは“今のモードを認める”こと

いきなり整えようとしなくて大丈夫。
むしろ認める方が大事。

  • 「あ、今ちょっと戦闘モードだな」
  • 「今、省エネモードなんだ」

そうやってラベリングするだけで、
人の脳は勝手に落ち着くようにできている。


◆②「最低3回」の深い息を吐く

腹側迷走神経は、“吐くこと”でオンになる。

コツは、
吸う量より吐く量を2倍にすること。

例)
吸う:2秒
吐く:4秒

これだけで体は安全だと認識しやすくなる。


◆③ 皮膚感覚を使う(かなり効く)

人間って、
「安心の触覚」を感じると、自動で腹側優位に切り替わる。

おすすめはこれ。

  • 胸の中心を手で軽く抑える
  • みぞおちに触れる
  • 鎖骨あたりをゆっくり撫でる
  • 頬を手のひらで包む

これ、実際に施術でも使っていて
神経モードがスッと変わる瞬間が本当に多い。


◆④ “安全な人・場所”を思い出す

腹側迷走神経は、
「つながり」「安心できる相手」を想像するだけで働くようにできている。

  • 信頼できる友達
  • 心地よい景色
  • 動物
  • 匂い

なんでもいい。
あなたの安心スイッチを知っておくことは、めちゃくちゃ強い。


◆⑤ 五感を同時に“ゆっくり”使う

腹側迷走神経が働くと、
世界がスローモーションになる。

だから逆に、
こちらから“ゆっくりした動作”をすると神経が合わせてくれる。

例)

  • 歩く速度を半分にする
  • コップをゆっくり持ち上げる
  • 呼吸のテンポを落とす
  • ストレッチを秒針のような速度でやる

これはマジで効く。
“ゆっくり”は腹側迷走神経のキーワード。


【私からの一言】自律神経は“自分の味方”。状態を知るだけで人生は整う

最後に、これだけ伝えたい。

人は、
「自分がどのモードで生きているか」
これを知るだけで、めちゃくちゃ生きやすくなる。

交感優位でもいい。
背側優位でもいい。
腹側じゃなくたっていい。

全部あなたの体が、
「今はこれが最適」
と判断して選んでいるだけだから。

ただ——
いつでも腹側迷走神経に戻れる力を育てておくと、
人生のしんどさは一気に軽くなる。

安心できる自分の場所をつくれるから。

もしあなたが今、少ししんどくても大丈夫。
その状態はあなたが弱いんじゃなくて、
体があなたを守ろうとしているだけ。

そしてその方法は、ちゃんとあなたの体に備わっているから。

ゆっくり戻ればいい。
必要なときに、また腹側に帰ってくればいい。